12
「美しい」設計は、機能的で使いやすい。
一つひとつのカタチの「理由」を追求。
配管設計
北村 修一 Shuichi Kitamura
プラント事業部 エンジニアリング部 配管技術室
2018年4月入社/機械工学 金属材料卒

※インタビュー内容は取材当時のものであり、
一部現在の部署業務とは異なる場合があります。

設計して終わり、ではない想像以上の充実感。
完成形だけでなく「作るプロセス」もイメージ。

無事にケガなく帰って来て、何よりだ――。設計したプラント配管の現場施工状況をチェックする長期出張を終えて、上司からもらった言葉です。真っ先に私の無事を喜んでくれたのが嬉しかったですし、「何事もないのが当然」とは考えていないプロ意識の高さは、さすがだなと。配管設計、と聞いて、入社前はパイプを張り巡らすイメージしかありませんでした。実際に自分が設計を任されて、機器や計装、土木建築の担当者とも連携してプラント全体を見ないと仕事にならない、と分かりました。いい意味のギャップでしたし、他部署のエンジニアと調整を重ねるほどプラントの知識を増やせるので、とてもやりがいを感じています。設計して終わり、ではなく、カタチになっていくのを間近に確認しながら、日々変わっていく現場を見るのは飽きないですし、想像以上の充実・達成感がありました。どのプラントもスケールが大きく、配管に必要なパイプやバルブなどの物量も多いので設計はハードですが、苦労した分だけ喜びも大きいし、想い入れどんどん強くなっていきます。協力業者や職人さんとも仲良くなり、教わることも多いですね。現場所長にも、建屋に配管を入れ込む作業で「こういうカタチで、あの場所なら配置しやすかった。完成形だけでなく、作るプロセスもイメージすると、もっと良くなるよ」と教わりました。現場を知るチャンスを新入社員の時からもらえたのは本当にありがたいですね。完成が近づくと、現場の一体感が一気に高まる。あの独特のシーンと醍醐味は、オフィスで設計するだけは絶対に味わえませんから。

下層から上層まで縦横無尽に延びる配管。
耐震基準を満たし、さらに「見栄え」も大事。

初めて設計に携わったプラントは、高さが40m、使う配管も大きいもので1mあたり数百kgもあって、圧力も高い場所では4MPa(メガパスカル)でした。高圧ガスの法律をゼロから学び、配管ルートの選定や耐久性、強度の計算、配管を支えるサポート(支柱)の検討などを手がけました。難しいのは、工期や配置など様々な制約があるなかで、いかに現実に即した姿をイメージできるか、です。配管がプラント内の下層から上層まで十数mにわたって縦横無尽に延びる強度計算を、重量やたわみも考えながらクリアにしていきます。サポートも過剰に大きな鋼材を使うと不格好でムダが多くなるので、配管サイズに合った適切な鋼材を選定し、強度計算で割り出した条件に即したものを、周囲との干渉が起きないように気を付けて設計します。2つの構造物にまたがる配管では、耐震計算の条件も変わり、異なる揺れに対する柔軟性を持たせる必要があります。そのために、極端に言えばバネのような曲げを作って、何とか基準を満たしました。でも、後で上司に「見栄えが、きれいじゃないなあ」と言われてしまい…。実は新人研修中も「見栄え」はキーワードでした。何台もあるポンプの向きがバラバラだと見栄えはよくないし、使う側も分かりにくい。でも整然と一列に向きが揃い、配管も系統ごとに形状を合わせれば美しいし、保守メンテナンス時にも見やすい。美しい配管設計は、ムダなく合理的で使いやすい。そんなこだわりのレベルに近づくことが、いまの私のテーマです。

バルブ識別記号のネーミングを提案し採用に。
大きなプラントの「細部が光る」設計を。

今は入社してから2つ目の案件で、バルブなど必要な部材購入も任されています。最初のプラントで現物を見ているので、何が必要かすぐにイメージが湧きますが、まだまだ知らない部分も多くあるので、調達部門やメーカーとのやり取り一つひとつが勉強になります。ステンレスや炭素鋼など材質の違いや、強い酸にも耐える樹脂ライニング加工など、細かな検討要素が山ほどありますが、大学で金属材料を専攻した知識も活かしつつ、日々前に進んでいます。仕様書の編集も担当し、バルブ識別記号(タグナンバー)のネーミングに私の提案したルールが採用され、プラント工事全体の設計図に適用されたのは嬉しかったですね。例えば、ボール弁はB、ゲート弁はG、レーティング(圧力規格)はA・B・Cに分け、材質を識別する番号もつけて…と。交通信号と同じで、分かりやすいルールと違和感のないシグナルで、一目瞭然になることが大事です。間違いがあれば事故につながる重責を3年目で任せてもらい、設計力も現場のイメージがよりリアルになって、成長している実感があります。現場を歩いて1本1本の配管をチェックし「大きなプラントの細部が光る」感覚で、随所に目が行き届くようになりました。何かを極める領域になると「細部に神が宿る」と言いますが、職場にはそんな先輩エンジニアが何人もいます。私もそうなっていければ、と将来のエンジニア像とそこへ続く階段が見えてきたので、後は自分なりに、いかに駆け上がれるか。流れるモノや内部で起きている反応、圧力、熱。配管一つひとつのカタチと配置、材質の理由を確かめながら、より良いプラントを自分の手でつくり出していきたいですね。

My Decision
入社の決め手

ものづくりがしたいと考えながら、いろんな業界を見渡すなかで、今まで触れた事の無かったプラントという世界の物理的なスケールの大きさに魅力を感じました。コベルコE&Mはリクルーターの方が物凄く熱心にアプローチしてくれて、スケール感の奥にある仕事の魅力を教わり、この業界に就職を決めました。事業所が大好きな地元と同じ兵庫県南部に集中していることも、背中を後押ししました。外販が中心のプラント事業部は全国各地に現場があり、長期出張ともなると現地に住む感じですが、「撮り鉄」である私は旅行気分でローカル線を楽しむチャンスが生まれて、プライベートも充実し、現場業務も苦になりません。月に1回、自宅に戻る費用も社費負担なので助かっています。イキイキワクワク、いつも自分らしく猫を被る必要のない社風も、私には快適です。仕事の面白さと居心地の良さ、働きやすさは想像以上でしたし、芯となるものを持って好きなことにどんどんチャレンジしたい人なら、きっといい出会いが生まれると思いますよ。

The Spirit
この仕事の真髄

お客様のニーズを汲み取り、安全や法規もしっかり守りながら、現場の空間的な制約を乗り越えていくところです。解析し、仮説を立ててやり切る。その繰り返しですし、配管ルートやサポート計画で行き詰まった時も、ヒントを求めて様々な資料を読み漁りました。最終的に、配管応力解析のエキスパートである先輩のアドバイスを得て、私には思いつかなかった「斜め」の配置で耐震計算に無事、合格しました。直角に曲げることばかり考えていた私は「さすが!」と納得しましたし、難しいこともそう感じさせずにさらっとこなしてしまう姿は、本当に格好いい。私の憧れであり目標です。配管設計は、土建や機器、計装とコミュニケーションを重ねる調整力、プラント全体の知識を磨く必要がありますが、そのプロセスにも醍醐味があります。固定観念にとらわれず、一つずつ乗り越えてカタチをつくり上げる楽しさと充実感を、これからも味わっていきたいです。