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設備や鋼材で異なる「設計思想」の
本質を見極め、最適な制御を導き出す。
制御システム設計・製作
高須 浩輔 Kosuke Takasu
機電事業部 計電本部 制御技術部 第一電気制御技術室
2015年新卒入社/理工学部 電気電子工学科卒

※インタビュー内容は取材当時のものであり、
一部現在の部署業務とは異なる場合があります。

「どう動かすか」だけでなく、
「動かない時」の解決も技術を磨くチャンス。

トラブルを起こさないのはもちろん、起きた時にも自己成長を--。ものづくりの生産ラインが脱線しないように、しっかりと「制御」というレールを敷きながら、もしも脱線したらどうするかの備えも忘れない。そのように、工場の生産ラインの制御機器システムと向き合っています。どう電気を流して制御し、プログラムを組むか。「この設備の動きは、こう変えたい」「こんな動きはできないの?」。お客様から様々な要望や期待を受け、設計から製作、ちゃんと動くかを確かめる試運転まで、現場に立つ頻度は多いですね。思い描いた通りの動きを実現し、お客様に「ありがとう」と感謝の言葉をいただく時はやりがいを実感しますし、モチベーションにもつながります。トラブルは発生させないのが一番ですが、初めて見る生産ラインでは、その設計図が“嘘”をついていることも意外と多いんです。お客様が自分で改造し、図面にはない回路が存在していて、「なぜ、ここに…」と我が目を疑ったケースもありました。そんな時もあたふたと慌てず、急ぎつつもしっかりと考えを巡らせて、スムーズに解決へと導く答えを整え、結果を出す。ラインが止まると困るし、いち早く復旧することを望むお客様の笑顔が、何より嬉しいですから。そして、こうした経験の一つひとつが、自分の技術力が磨かれるチャンスだともとらえています。

踏襲すること、変えることを見極め、
満足度の高い「一品一様」へつくり上げる。

私がいる電気技術グループは、生産設備の制御システムの設計・製作をしています。神戸製鋼所の製鉄工場は「構内」、神戸製鋼グループではない一般企業のお客様は「構外」と呼び、私はどちらの案件にも携わっています。構内ではいま、製鉄工程で最終仕上げをする冷延工場で、APL(連続焼鈍酸洗ライン)の「ここが止まれば、ラインが動かない」という中央主幹の制御システムの更新を進めています。難しいのは、制御機器のメーカーや生産する鋼材の種類によって、「設計思想」が違うこと。どんな時に異常と判断し、ラインを止めるか。既存の制御システムを踏襲しつつ、新しい制御機器の設計思想にふさわしいように、変えるべきところを見極める必要があります。経験豊富な先輩にも相談しながら、自分でも「なぜ、そうするのか」と設計思想の本質を理解し、最適な制御を導き出すことの大切さを実感しています。構外のお客様には、どんなニーズがあって何をしたいのか、より丁寧に詳しく意向を汲み取ることが大事ですね。低コストや高い操作性、生産効率やメンテナンス性の向上。構内で培ってきた制御の技術やノウハウは高い評価を受けていますが、そのまま押し付けることはしません。こちらから先手を打って「それなら、こうしましょう」とリードしていく感じで、満足度の高い一品一様を一緒につくり上げていくことを心がけています。

「なるべく広く、それなりに深く」で
自分にしかできない制御技術の領域を。

制御設計にも、トレンドがあります。これからは省配線による小型化やスピード化への対応力が求められますし、当たり前の存在だったハード回路をソフトウェア化することも増えています。機器メーカーの研修で最新の設計思想に触れたり、資格取得支援の制度があったりと、新しいことを学びながら、スキルとキャリアがともに成長していけるのは面白いし、楽しいですね。さらに設計だけでなく、得意なプログラミング力を活かしてAIやIoTにも取り組めたらと。構内には冷延工場だけでも、APL以外にもCGL(亜鉛メッキ)やEGL(電気メッキ)、サイズを揃えて仕上げるリコイラーなど多様なラインの制御システムがありますし、さらに高炉まで遡る上流工程には多様な制御シーンと技術があります。一つずつ段階を追ってひと通りのキャリアを経験し、「終わりのないスキルアップ」にチャレンジしてみたいですね。工程やライン、鋼材の形状ごとに深く掘り下げる専門的なエンジニアが先輩には多いので、私は「なるべく広く、それなりに深く」制御技術全般が分かる存在になって、自分にしかできない領域を創り出していこうと考えています。それが、構外の仕事を増やし比率を高めていく、経営ビジョンの達成にも貢献することにつながると思っています。

My Decision
入社の決め手

自らの設計が反映されて、ものづくりの現場が動く。そんなシステムを立ち上げてみたいし、好きで独学したプログラミングの強みも活かせたらと思っていました。神戸製鋼グループの企業説明会に参加した時に、神戸製鋼所よりも当社の方が自分の仕事シーンがイメージできましたし、技術的なこだわりを持つ先輩エンジニアが多いのも魅力に感じました。設計技術だけでなく、お客様とのダイレクトなコミュニケーションやプロジェクト推進、コスト管理など、総合的な視野を持つエンジニアになれると感じています。就活では、人生設計が立てやすいことも重視しました。転勤があっても兵庫県内だけですし福利厚生も手厚く、仕事と暮らしのいいバランスを大事にする理念にも共感できましたね。

The Spirit
この仕事の真髄

想定外のことやトラブルは、必ず起きるもの。エンジニアとしての自分が試され、経験やアイデアが問われるシーンほど、アドレナリンが湧いてきます。何が必要で、重要か、私はどうすればいいか。そう考えている時間が、実は一番楽しいですね。すぐにパッと答えられることも凄いのですが、それって結局、すでに知っている技術や方法だということ。それよりも、答えが見つからないけど自らの手で、「この機器には、こんな制御システムが最適だ!」と、必死にアイデアをひねり出す。また、案件ごとに異なるニーズを、新しい技術と発想で「一品仕様」で創り出す。そんなスタイルの方が面白くてやりがあるし、次につながっていくのだと思います。それがしんどいと思う人には苦痛でしかない仕事ですが、私にはエンジニア冥利に尽きる瞬間ですね。