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できない悔しさに溢れた日々から
「私なら、何とかできる」自信へ。
現場監督
井原 啓文 Hirofumi Ihara
エネルギー事業部 エネルギー設備部 エネルギー設備室
2003年4月入社/高校 機械科卒

「モノに触る」から「人を動かす」へ。
若手を育てノウハウも築く勢いに乗って。

まるで、映画の世界だな――。入社後初めて、巨大な製鉄所を間近に見上げた時のインパクトは、強烈でした。こんなにスケール感の溢れる場所で仕事をするのかと、少々気後れした覚えがあります。最初の5年間は現場の仕上げ職で、製鉄所の機械メンテナンス、連続鋳造設備の圧延機取換工事などの作業者でした。先を読み次の動きへスムーズな先輩と違い、それを見てから動き出すので、最初は何をやるにも必ず一歩遅れていました。圧延機を正しい位置に据付けるのも1/100mm単位の精度が要求されるのにうまく計測できず、ずっと悔しい想いをしっ放しでした。手応えを感じ始めた5年目に、神戸製鋼所のIPP(独立系発電事業者)を担う神戸発電所で、2基ある火力発電所のボイラー設備の点検・整備担当になりました。機械装置など「モノに触る」現場の作業者から、点検・保全作業者の「人を動かす」現場監督へ。仕事場も内容も一変して、物凄いギャップを感じました。ただ、エネルギー設備室は若手を育て、コベルコE&Mの独自ノウハウを築いていくぞ、というエネルギッシュな雰囲気に溢れており、その勢いに乗ることができました。あれから13年、現場監督業が身につき、若手の育成も任されるようになって、気づいたことがあります。悔しさに溢れていた10数年前の自分は、実は大事に見守られていた、と。「下手くそ!」と叱られながらも、計測し直すチャンスをくれ、練習にも付き合ってくれました。そんなやさしさを感じていたから「明日、またがんばろう!」と思えたんでしょうね。

神戸発電所初の難工事は驚きの連続。
やり切ったからこその充実感と喜び。

人を動かす現場監督は「ただ一つの正解がない」難しさがあります。自分の想いをどう伝えるか、どんなやり方がいいのか、現場の状況や人の数、納期、予算など、条件によって変わります。まずは過去のデータも参考にしつつ自分なりに考え、いろんな人のアドバイスも取り入れて、自信を持って「これが最善です!」と言い切れるように心がけています。これまでで一番大変だったのは、2014年に行った直径およそ700ミリの高温再熱蒸気管の取換工事です。曲管部分の取替で重量は1.3トンもあって、しかも溶接事業者検査という難易度の高い検査をクリアする必要がある、神戸発電所でも初めて実施する工事でした。現場へ行き現物を見て、事務所に戻って図面も確かめ、設備メーカーのお客様に教えを請い、施工業者さんに分かりやすく説明する。分からないことだらけで、必死でした。3ヶ月の工期はその繰り返しで、走り回った記憶しかありません。トータル120mある配管の一部を切り取るため、切った瞬間に配管が跳ね上がってしまう危険があります。そのため総重量およそ8トンもの鋼材を使って固定枠をつくりました。配管をつなぐ際は、配管それぞれ同士の隙間の許容範囲が、全周約2mの配管でわずかに1.5〜3.5mmに収めなければなりません。やることすべてが驚きの連続で、自分は工事責任者の立場なのに「何もできなかった…」と思っていました。ですが、工事が完了した時、「井原さんでなければ、こんなにうまくできなかったよ。ありがとう!」とお客様が言ってくださったんです。何もできていないと自分では思っていたんですが、お客様から見れば、十分監督の役割は果たせていたということが分かって、嬉しくて思わず泣きそうになりました。その後も直管部の取替工事の責任者を任せてもらい、その仕事を自分がやりきって、業績にも貢献できた充実感があります。これだけの規模の「どぎつい仕事」を経験させてもらい、少々のことでは動じなくなりましたし、多少のことは自分ならなんとかできるという自信もつきました。

「みんなでやったぞ!」という達成感。
「忖度」が、より良い仕事の秘訣。

コベルコE&Mが凄いのは、計画から終わりまで一括で、一人の現場監督の責任下で動いてよいことです。見積もりなど予算の管理から工事計画、施工方法、現場の工程管理や品質管理まで。建設工事業界でも、ここまで任せてくれる会社は聞いたことがないですし、やりがいがあります。それだけ責任も大きいですが、丸投げではなく上司や仲間のサポートを受けながらマネジメントしています。お客様に工事完了報告書に承認サインをいただく時、「無事に終わった!」という安堵感とともに「みんなでやったぞ!」という達成感が湧き上がってきますね。一緒に現場に立つ部下や後輩には、「工事は、忖度!」とアドバイスしています。お客様の指示にどんな意図があるか考えることで、一歩先を見て自分が動き出せるし、施工業者さんも仕事がしやすくなって、より良い仕事ができる秘訣です。ニュースで「忖度」という言葉を嫌というほど耳にした時、調べてみたら本来の意味は「他人の心を推し量ること。また、推し量って相手に配慮すること」でした。「対モノ」ではなく、「対ヒト」の現場では、様々な場面で円滑に物事を進めるのに、大切な考え方だと思います。いま、神戸発電所に2基の最新鋭の火力発電所を建設中ですし、その現場を担う若手を育てることも私のミッションです。既存の2基と構造が似ているので、私が培ってきた経験をうまく伝えていけたらと思っています。その際にも「忖度」は重要になってくるのではないかと。さらに、あの「どぎつい仕事」を超えるレベルにも挑戦していきたいですね。神戸製鋼所グループ以外の発電プラントやエネルギー事業の現場で、まったく知らないボイラー設備を見てみたいし、建設にもかかわってみたい。それが私の夢ですし、そう遠くない未来に実現できると信じています。新たな可能性を拓く突破口になれるように、「忖度」にも磨きをかけ続けていきます。

My Decision
入社の決め手

地元の神戸で、工業高校で学んだことを活かせて、安心できる大手企業。その条件で学校に届く求人票を探していたら「コベルコE&M」の名に出会いました。機械保全やメンテナンスという言葉にも惹かれました。入社後は社内外の幅広い研修に参加できて、工事関連の資格取得にも挑戦させてもらっています。発電所の点検・整備は春と秋の繁忙期を除けば休暇も取りやすいですし、旅行費用の補助制度など福利厚生も充実しているので、夫婦で国内旅行も海外旅行も満喫しています。70万KWの火力発電所が2基ある神戸発電所は、神戸市のピーク電力需要の約70%をカバーできる、国内最大級の発電量を誇ります。現場見学の家族イベントで、妻が聳え立つプラントを見上げながら「こんなところで仕事してるんだ。凄いね!」と驚いていました。これから入社してくる皆さんには、ぜひこの仕事ならではのスケールと充実感を味わってほしいですね。

The Spirit
この仕事の真髄

知れば知るほど奥が深く、好奇心がどんどん湧いてきます。500℃を超える蒸気、20数メガというあり得ない圧力。ボイラー設備は、さまざまなカタチの構造物あり、本当にたくさんの種類の工事があります。だからこそ時には想定外のトラブルも発生します。そうならないために、関わる全てのことに「これ、何やろ?」と興味を持ち、「あ、そういうことか!」と知ることで、トラブルを未然に防ぐことにつながります。それがさらに仕事の幅を広げ、やりがいやモチベーションがどんどん高まるのです。この仕事に最も必要なことは、旺盛な好奇心と向上心、やる気、そして元気。人を動かして良い現場をつくるには、大きな声を出せるのも大事なことです。「この工事、お前に任せる!」と力強い声で言われると、信頼の証しに思えて嬉しかったですし、私が仕事を若手に任せるときもそう聞こえるように心がけています。